▶ 雅楽とは

雅楽の歴史

雅楽は1200年以上の歴史を持ち、日本の古典音楽として、また世界の古典音楽として外国でも非常に高く評価されてきています。
雅楽は、日本古来の儀式音楽や舞踊などと、仏教伝来の飛鳥時代から平安時代初めにかけての400年間あまりの間に、中国大陸や朝鮮半島から伝えられた音楽や舞、そして平安時代に日本独自の様式に整えられた音楽などです。
奈良時代・平安時代から、雅楽の演奏は宮廷は勿論、寺院や神社において盛んに演奏されました。そして1000年以上、京都・奈良・大阪の専門の演奏家によって伝承され続けました。明治時代に宮内庁式部職楽部が創設され雅楽を伝承しています。最近は、民間の雅楽の演奏団体も増えてきています。

雅楽の種類

現在日本で雅楽と称しているものは、奈良・平安時代に日本へ伝えられた音楽と舞、そしてわが国に古来からあった舞楽や、平安時代に作られた歌曲も含まれます。

その種類を大別すると、以下の三種類になります。

1.日本に古くから伝わるもの
国風歌舞(くにぶりのうたまい)

2.外来のもの
唐楽(とうがく)...中国、インド(天竺)、南ベトナム(林邑)等より伝来し たもの。器楽合奏の管絃(かんげん)と、舞のある舞楽(ぶがく)です。
高麗楽(こまがく)...朝鮮、中国北東方面などより伝来したもの。昔は管絃もありましたが、現在では演奏されず、舞楽のみが演奏されます。

3.平安時代にできた歌曲
催馬楽(さいばら)...民謡などの歌詞に拍節的な節をつけて歌うもの。
朗詠(ろうえい)...漢詩に非拍節的な節をつけて歌うもの。

なお、「歌披講(うたひこう)」(宮中の歌会始の儀で行われる)は、雅楽の楽器を用いないため、雅楽の中には入れていません。
日本古来の舞楽(国風歌舞)と催馬楽・朗詠は歌曲が主となっているのに対し、外 来曲は全て器楽曲です。

管絃

管絃は以下の編成で演奏される、器楽合奏を指します。

管楽器 笙 (和音) 三管
篳篥(主旋律)
龍笛(旋律)
絃楽器 琵琶(拍節) 両絃
筝 (拍節)
打楽器 鞨鼓(拍節) 三鼓(さんこ)
太鼓(拍節)
鉦鼓(拍節)

このような編成となったのは平安時代の中頃と言われており、管楽器、絃楽器、打 楽器の編成は西洋音楽のオーケストラと同じです。 明治の始めにオーケストラが輸入されたときに、雅楽の「管絃」に音楽の「楽」をつ けて「管弦楽」としたといわれています。


管絃で演奏されるものは唐楽で、壱越調(いちこつちょう)、平調(ひょうじょう)、 双調(そうじょう)、黄鐘調(おうしきちょう)、盤鐘調(ばんしきちょう)、太食調(たいしきちょう)の6つの調子があります。

舞楽

舞楽とは雅楽の楽曲を伴奏として舞う舞で、日本古来の舞と、外国から伝えられた舞とに大きく分けられています。
日本古来の舞は、国風歌舞と言われ、歌曲の伴奏で舞われるものです。
現在は左方(さほう)の舞と右方(うほう)の舞とに区別されていて、左方の舞は唐楽(とうがく)(中国系統)、右方の舞は一部の例外を除き高麗楽(こまがく)(朝鮮半島系統)の伴奏で舞われます。
使われる楽器も異なり、左方の舞では笙・篳篥・龍笛に打楽器 鞨鼓・太鼓・鉦鼓を用います。右方では笙は用いず、篳篥・高麗笛に打楽器 三の鼓・太鼓・鉦鼓を用います(但し、右方の還城楽・抜頭・陪臚の三曲は変則で、笙・篳篥・龍笛に打楽器 三の鼓・太鼓・鉦鼓を用います)。

左方の舞(萬歳楽)

右方の舞(延喜楽)