雅楽に由来する言葉

雅楽に由来する言葉


○千秋楽
相撲や演劇の最終日を「千秋楽」といいます。これは雅楽の曲(唐楽、管絃曲)の名前から出ています。1144年に日本で作曲された曲で、仏教の法要の最後に千秋楽が奏された。それから相撲などの興行の最終日を千秋楽と云うようになったとのことです。

○二の舞
前の人と同じような過ちや失敗をすることを「二の舞を踏む」とか「…の二の舞」などといいます。これは雅楽の中の舞楽に「安摩・二の舞」という舞楽があります。「安摩」という舞に続いて「二の舞」が舞われるもので、前に舞った「安摩」のまねをして舞おうとするのだが、上手く舞えないことから、こ   の言葉が使われるようになりました。

○二の句がつげない
とんでもないことを言われ、あきれて次の言葉が出せないことを「二の句がつげない」と言います。平安時代に出来た朗詠から生まれた言葉です。朗詠は漢詩を三つの部分に分けて、順に一の句、二の句、三の句とし、それぞれ独唱の後、斉唱となります。また独唱者も変わっていきます。一の句は普通の音の高さで歌うが、二の句は、急に音域が変わって高い声で歌われ、うまく引き継いで歌うことが難しいのです。そこから、次に言い出す言葉がうまくでない事にかけて「二の句がつげない」と言われるようになりました。

○ろれつが回らない
酒に酔うなどしてうまく話せなくなることを「ろれつが回らない」などといいます。これは雅楽の旋法(音階)に呂(りょ)と律(りつ)の二つがあり、あわせて「呂律」(りょりつ)ともいいます。この呂律がうまくいかないことから、うまく話せないことを「ろれつが怪しい」とか「ろれつが回らない」などと言われるようになったとようです。

 

○やたら
みだりにとか、むやみになどの意味に、「やたらに多い」「やたらめったら」などの言葉が使われます。このやたら(雅楽では夜多羅拍子、八多良拍子などと書く。「矢鱈」は当て字)は雅楽の拍子を表す言葉の一つです。2拍・3拍・2拍・3拍と続く拍子で、騎馬民族に見られる3拍子を農耕民族である日本人は苦手だったようで、なかなかうまくいかなかった。そこで、めちゃくちゃになってしまうことを「やたら」というようになったともいいます。

○打ち合せ
物事がうまく運ぶように事前に相談することを「打合せる」といいます。これは雅楽の合奏の時、打楽器を打ってテンポ決めながら、他の楽器とうまく合わせる事を「打ち合わせる」と言っていたことから生まれた言葉です。

○打ち止め
物事の終わりや、興行の終わりを「本日の打ち止め」等といいます。雅楽の舞楽で舞人などが退出し、曲を途中で止めるときの打楽器の奏法の一つを「打止め」「撃止め」と言い、ここから物事や興行を終わりにすることを「打ち止め」と言うようになったものと思われます。

○楽屋
役者などが化粧をしたり衣裳を着けたり、準備をする場所を楽屋といいますが、本来は雅楽の楽人の奏楽する場所でありました。昔 庭に舞台を造る時は、楽屋は舞台のそばに仮設したり、回廊に幕をはり楽屋としました。楽屋は、舞台より3間余り後に、横3間、奥行4間余りとし、前の方を管方の演奏する場所、後を屏風で隔てて舞人が装束を着ける場所としました。楽屋は文字の通り音楽を奏する場所でした。

○やぼ
無骨な事や、事情に通じないことを言う人に「やぼなことをいう」などといいますが、この語源ははっきりしていません。一つの説に次があります。雅楽の楽器に笙(しょう)という楽器があります。これには17本の竹にそれぞれリードが付けられ、音が出るようになっていましたが、日本に伝来されてまもなく、日本の音楽になじまないらしく2本の竹のリードは取り外されてしまいます。ですから現在は15本にだけリードが付けられ音が出ます。外された2本の竹の名前が「也(や)」「毛(もう)」といいます。この「や・もう」が変化して「やぼ」となった。そして、風流でないこと、無骨な事を「やぼ」というようになったといいます。

○あんばい
ちょうど良い具合であることを「あんばいがよい」などといいます。漢字は「塩梅」と書かれ、塩と梅酢の加減の良いことの意味にも使われますが、雅楽でも篳篥の奏法の一つに「塩梅(えんばい)」というのがあります。篳篥は指の押さえ方を変えずに、吹き方の加減で音の高さを変えて吹く奏法で、雅楽の旋律を特徴づける方法です。篳篥でこの塩梅が上手いくととても良い演奏なります。そこで気持ちの良い事を「あんばいが良い」と言われるようになったとも言われています。